公益法人の皆様

○収支相償について

公益社団・財団法人のみなさまにとっては、5月6月は理事会や総会・評議員会の準備・開催などでお忙しいことと思います。そしてそれらが終われば、行政庁に対する「事業報告等」を作成し、提出しなければなりません。「事業報告等」では、別表各表の作成に負担をお感じの方が多いと思います。別表各表には、収支相償・公益目的事業費率・遊休財産規制のいわゆる財務3基準のチェックをするためのものや、費用の配賦を明らかにするもの、公益目的取得財産残額を計算するものなどがあります。今回は、財務3基準の中で最も抵触しやすい基準である収支相償への対応について簡単に解説します。

事業の収支構造が変化したり、単年度の特殊要因や収入増や経費削減に努力した結果として、公益目的事業が黒字となり収支相償を満たさないということが往々にして起こります。このような場合には、次のような対応をすることによって収支相償をクリアすることができます(第二段階の対応)。

①特定費用準備資金の積立
将来の特定の事業費等に特別に支出するために積み立てる資金で、既存事業の拡大や周年記念事業等の費用が対象となります。この積立は当該事業年度の費用ではありませんが、収支相償や公益目的事業費率の判定では費用とみなされます。
②資産取得資金の積立
将来の公益目的保有財産の取得または改良に充てるための資金の積立によっても、収支相償の基準を満たすことができます。
③当該事業年度の公益目的保有財産の取得に充当
④翌事業年度の公益目的事業の拡大に充当

①、②の場合は、資金を貸借対照表で「特定資産」とすること、目的外取崩しの場合の特別な手続き(理事会決議等)や積立限度額その他について備置き・閲覧の措置が必要となります。

④は翌事業年度の行政庁への「事業報告等」で実績報告(自由様式)を添付しなければなりません。

当然のことながら、公益目的事業の収支見通しを早い段階で立てるとともに、黒字になりそうであれば、その原因が一過性のものであるのか、ある程度継続するものなのかを見極め、剰余の多寡も考慮して、その剰余を将来に向けて有効に活用することが大切です。上記各項目の詳細については、内閣府の「新たな公益法人制度への移行等に関するよくある質問(FAQ)」の問Ⅴ-2-①~⑤などをご覧ください。

平田久美子税理士事務所 2014/05/12

このページを印刷する
ページのトップへ戻る