公益法人の皆様

○費用の配賦について

今回は、各会計区分に共通して発生する費用の配賦について、簡単に解説します。共通費用をどのように配賦するかで、収支相償・公益目的事業費率・遊休財産規制の判定や収益事業等会計から公益目的事業会計へのみなし寄附や法人税等の額に影響を与えます。各会計区分に共通して発生する費用をどのように配賦するかについては、内閣府作成の「新たな公益法人制度への移行等に関するよくある質問(FAQ)」の「問Ⅴ-3-②」に以下のように例示されています。

配賦基準 適用される共通費用
建築面積比 地代、家賃、建物減価償却費、建物保険料等
職員数比 福利厚生費、事務用消耗品費等
従事割合 給料、賞与、賃金、退職金、理事報酬等
使用割合 備品減価償却費、コンピューターリース代等

FAQの説明にもありますが、これ以外に適当と判断した基準があればそれを採用すればよく、過去の活動実績、関連費用のデータなどから、法人において合理的と考える程度の配賦割合を決めてもらえればよいとされています。

配賦基準の変更や配賦割合の変動については、事業年度終了後3か月以内に行政庁に提出する事業報告等の審査の際や、概ね3年に一度とされる行政庁の立入検査時に照会・質問を受ける可能性が高いこと、また税務調査でも説明を求められる事項の一つと考えられます。

収支相償を満たすため、あるいは収益事業の利益を圧縮するためといった理由で、安易に配賦基準や配賦割合を変えることは、厳に慎まなければなりません。もちろん合理的な理由があれば配賦基準・配賦割合を変更することはできますので、検討資料・根拠資料を作成して、必要な内部手続きを踏むことが必要でしょう。なお、配賦の根拠となる資料については、10年間保存しておくことが必要です。

平田久美子税理士事務所 2015/06/15

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